あれから二週間ほど経ち。それから一度も例の黒い悪魔を目撃することはなく。
ブラックキャップの力で撲滅せしめたか…と油断していた所でソイツは再び現れた。
長い触覚をゆらゆら揺らし、台所のシンクの隅で蠢く黒褐色。
前回は裸眼の状態で見たのでただの見間違いの可能性もあったが、今回は眼鏡を掛けていたし、その上裸眼視力1.5の妻が第一発見者である。もはやヤツがこの家に住み着いているのは紛れもない事実であろう。
しかしこの家にはヤツと戦うための武器がない。我々が攻めあぐねている間に、ヤツはそのまま姿を消した。
いくら罠を仕掛けたところで、確実に撲滅できるわけでない以上、直接対決の備えもしなければならないことを実感した俺は、本日近くのディスカウントストアにてこんなものを購入してきた。
いわゆる行動停止剤というヤツであり、-85℃の冷却効果によって黒い悪魔の動きを止める…というものらしい。殺虫成分を含んでおらず、食品・食器の近くで使っても安全なんだとか。
殺虫剤は使った後の始末がなぁ…と考えてのチョイスだが、殺虫剤と違って黒い悪魔の息の根を止めることができるわけじゃないから、最終的には自分の手でとどめを刺さなきゃならんのだよな…そう考えると良し悪しなのか…
できることならこいつを使うことなく今年の夏を越えられることを祈りたいものである。頑張れブラックキャップ、マジ頑張れ。